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 この旅行はタイ駐在時ではなく、帰国後'02年11月末友人3人と行った。通常カンボジアのアンコール遺跡はタイから空路で行くが、今回経費節約を兼ね、あまり一般の人が行かない陸路でタイからアンコールへ往復した。男4人で1台の車を貸し切り、3泊4日ホテル代、食事、観光料(3日間のフリーパス40ドル)、ガイド(英語・タイ語)1名込みで1人当たり 7,000バーツ(約21,000円)であった。このほかの費用は、食事時のビール、日本語ガイド(2日間20ドル)、お土産代程度。

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 '02.12.27 タイ国国境の町アランヤプラテートからカンボジアに入る。10ドルでビザを取り、出国証を作成して入国する。全面舗装のタイの道路から全く舗装されていない道を見て、これからの旅の大変さを予想したが・・・。
 地図左上のポイペットからその右の方にあるアンコールに近いシエムリアプまで陸路を行く。約150km。1ボックス車に客4人と運転手、ガイドを含め計6人で午前11時頃出発し、明るいうちには着く、とのことであった。

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道端の臨時のガソリン販売所。ポリタンクに入れて売っている。普通のガソリンスタンドもあるが、こういう所のほうが安いらしい。ペットボトルは飲み物でなく、バイクに補給するガソリンが入っている。手前の赤い箱の中には氷で冷やした飲み物が入っている。

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橋にさしかかった。すれ違いはできないので交互一方通行になる。幅も狭く端の鉄筋が無理に変形させられているのは、トラックの荷物が引っかかったからか? 前を走るのは一般客を乗せた乗合バスで、1トンピックアップトラックの荷台に乗る。地方では日本で見るようなバスは見られない。また地方では登録No.プレートが付いていない車も多い。タイで「盗難にあった車がカンボジアに売られる」という、うわさは本当のようだ。

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舗装してないので車がすれ違うとこのとおりのひどい砂埃が舞う。我々の車は曲りなりにもエアコンが付いているのでよいが、一般車は大変だろうと思う。また今は乾季なのだが、雨季になると穴ぼこに車輪を取られてスタックする車が多いという。
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車は水田地帯を延々と走る。一部にこのような小山が見られるがほとんどが平地である。道路がひどいので時速20km程度でしか走れない。それにしても上下の揺れがはげしい。腰を痛めないか心配。
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 午後2時頃遅い昼食をとって1時間位走ったところ、車の下の方でカタカタという異音がしたと思ったら車が止まった。ハンドルがおかしいという。運転手が車の下にもぐって修理しだした。約10分ほどでまた走り出したので一安心と思ったら、ものの100mも走らないうちにまた異音がして止まった。
 車の下へもぐって外したボルトはねじが丸坊主。これを取り替えないとハンドルが効かないという。

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 運転手が通りががりのバイクをつかまえ、近くの町へボルトを探しに行くとのこと。「往復30分位待ってくれ」という。比較的長い特殊なボルトなので、あるのかなあ?近くの家の子供が様子を見にきた。日が暮れかかり心細くなってきた。

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車が故障した付近の道。道幅は幹線国道というわけでかなり広いが、大きな穴が一杯、というより穴がない所が無いと言った方がよい。乗用車は底をこすること間違いなし。凹凸の少ないところを選びながら走るのであるが、我々が乗っている車も振動が激しく、時速15〜30km程度で走るのがやっと。車も故障するわけだ。こういう道が一部でなく延々と続く。途中の町の近くだけ約10kmくらいは舗装されていたが、運転手が通行料金を支払っていた。なお日本のような裏道など全くなく、ポイペットからシエムリアプの間で交差点さえ途中の町に1箇所あっただけにすぎない。恐るべき道路事情である。

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dscn0672.jpg  ガイドが携帯電話をかけたあと「代車を手配するので近くの町まで行く」と言ってまたバイクをつかまえ、行ってしまった。我々日本人客4人だけ故障車に取り残され、とうとう日が暮れてしまい、最悪の状況になってしまった。
 1時間くらい真っ暗な中で途方にくれて待つ内、 運転手がボルトを持って戻ってきたが、車の下へもぐったあとの答えは「使えない」であった。
 その10分後ガイドが乗用車で戻ってきた。この車に助手席に2人、後席に3人乗ってシエムリアプに向かった。スプリングがたわんでしまい常時底をこすりながら走る車の窓から見る満天の星空と美しい天の川が印象に残っている。なんとかホテルに到着したときは思わず「無事着いてよかった」が実感であった。国境を出発してから9時間後であった。
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シエムリアプの街とアンコール遺跡周辺の衛星写真です。
衛星写真

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 2日目ホテルを出て車で5分ほど走る、アンコールの入り口へ来るとゲートがある。ゲート横の建物で3日間の観光フリーパスを作成する。写真を撮ってもらい10分ほど待つと写真が入ったラミネート加工をした右のようなパスが出来上がる。それにしても3日間で40ドルは高いなあ。
 まずバンテイクデイ寺院へ行く。ゲートから30分程度車で走る。アンコールの周辺は観光客が多いためか、舗装されてない所は殆どなく、田舎の道とは雲泥の差である。飛行機でここへ来た人には田舎の道のひどさはまずわからないであろう。

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池に映る寺院。石でつくられている。石はこの近くでは産出せず、ここから約10km離れたところから運んできたものという。おびただしい量の石を見てクメール文明当時の権力者の力を思い知った。

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2種類の石が使われ、砂岩と赤っぽい色のラテライトで、砂岩には緻細なレリーフが施されている。左写真で目に見える部分はすべて砂岩である。

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これはタ・ブロム寺院で、長い年月の内に石の建物が自然の木によって取り巻かれている。この木の種類はガジュマルである。1本の木が屋根の上に生えているように見える。

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建物の裏へまわると木の根が屋根から地面に下がって根付いているのがわかる。

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木の近くに寄ってみるとその大きさがわかる。

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この木は上に別の木が取り巻いている。

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アンコールトム入り口の堀を橋の上から見る。橋の欄干の像は顔が破壊されてしまっている。堀に浮かぶ水草の緑が美しい。アンコールは都、トムは大きいという意味。

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ここはバイヨンの遺跡。
地雷が気になりガイドに尋ねたところ、アンコール遺跡内については、地雷は一掃されており、全く危険は無い、とのことである。

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ここも壁面にはレリーフが一杯である。象に乗っているのはクメール軍の指揮官とのこと。

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遺跡の内部。四面菩薩像。

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立体写真3点
焦点を写真より近くに置き(寄り目にする)、2つの画像を1つにすると立体になります。
日が暮れて来てから夕日を見るため、100mほどの小高い丘パノムバケンへ上る。象に乗って上がることもできるが、我々は足で登る。一汗かいたあと頂上付近から遠くアンコールワットの塔が見える。この写真は3倍ズームで撮ったもので、かなり遠い。
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頂上の西側はたくさんの観光客が詰め掛け、夕日の沈むのを待っている。
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夕日が地平線に近くなってきた。
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やおら見物人の中から一人の男が上半身裸になり、目の前の石の上に立った。深呼吸をしたと思ったらその上で倒立をした。後ろ側は崖であり、落ちたら命が危ない。随分危険なパフォーマンスをする、と思ったら近くの観衆から「シンガポールから来た芸人だ、特別に無料で披露する」という声がした。
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今度は女が出てきた。手に剣を持っている。舌で剣を舐めだした。
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持っていた剣を口に当てたと思ったら、スーッと飲み込んでしまった。聴衆から思わず拍手が出た。
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地平線に沈もうとしている夕日。沈みきったときまた観衆からどよめきと拍手が出た。
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