リモートコントロール付き マイクケーブルの製作
Hiltonの音楽音量リモートコントロール付マイクケーブルはSDコールには必須ですが、米国から購入すると1万円以上の価格です。なお最近はHanhurst's
のページには購入できる商品さえ掲載されていません。Hilton のページ(下記)には$115となっていますが、これに送料が加わります。 https://www.hiltonaudio.com/store/c3/Microphone_Cables.html そこでこれを試作することを思い立ちました。試作した経緯は下記のとおりですが、ほぼ期待したものが1個できました。 その後 ケーブル長3.5mの物を 5個製作し、ご希望の方に使っていただいています。さらに次の5個も製作中です。部品代+αでお分けできると思います。 そのほかこの記事を見た方から製作依頼をいただき、10個ほど製作しました。 ご希望の方は藤岡までご連絡ください。 |
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2回目に5個製作した内の1個(ケーブル長 2.5m) |
回路は凡そ下図のようになっている。
1.部品の購入 | ||||
1) 本体とボリュームコントロール取り付け部 | ||||
アルミパイプ19φ 肉厚1.0mmとコ型アルミ型材14x12mm 肉厚1.0mm、長さは何れも1mの材料を近くのホームセンターで購入した。(その後コ型18mm x12mm肉厚1.0mmに変更・・・2.4)項参照) |
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2) ステップアップトランス | ||||
Hiltonに使用されているトランスのインピーダンスは判らないが、直流抵抗を測定すると二次側が約1.5kΩ程度。 | ||||
ネットで小型トランスを探したところ「サンスイ製 インプットトランスST-10」 というものが見つかった。 購入手配し、これを使用した。パイプ内にそのまま納まり、機能確認の結果もOK。 ST-10 インピーダンス・一次: 30KΩ、二次: 1KΩ、寸法14.5x14x12mm 購入先:マルツパーツ館 http://www.marutsu.co.jp/ |
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3) 小型ボリュームコントロール | ||||
ネットで小型ボリュームコントロールを探した。Hiltonに使われているものは20kΩであるが、20kΩ仕様のものは無さそう。仕方がないので、10kΩのものを注文した。 メーカー名 アルプス電気、メーカー 型番 RK09L1140A5E ネットショップ RSのURL:http://jp.rs-online.com/web/ (後日20KΩが見つかった。アルプス電気、型番 RK09L112003P) |
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4) マイクソケット(XLRメスコネクター) | ||||
ネットでサウンドハウスへ注文した。同時にマイクプラグもここで購入した。サウンドハウスは過去にマイク本体を購入した商社。 メーカー :CLASSIC PRO、商品名:XLRメスコネクター、商品番号:CXL1 ネットショップURL:http://www.soundhouse.co.jp/ |
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5) リモート用のミニプラグ、マイク用スイッチ、ツマミは名古屋大須の第二アメ横へ出かけて購入した。3mmのスクリュー(小ネジ)は近くのホームセンターで購入した。(後にはマイクケーブル、マイクプラグ、ミニプラグはサウンドハウスで購入している) | ||||
2.ボリュームコントロール取り付け材の加工 | ||||
1) ハンドグラインダに切断砥石を取り付け、アルミのコ型材に5mm幅のスリットを2本入れた。 2) 細い部分を折り取って、ラジオペンチでZ字形に折り曲げた。切り欠き部で残っているのは1辺だけであるが、肉厚が1mmあるので指先でちょっと押した位では変形しない。 しかしこの箇所はウィークポイントに変わりなく、マイクを外していると運搬時などに押し付けられ、変形してしまうことがある。変形した場合は押せば元に戻るが、数回繰り返すと折損してしまうので注意が必要。 側面に隙間はできるがこのまま使うことにする。両端も開いているが、塞ぐ方法は簡単ではないので、このまま使うことにする。なおHiltonはこの部分にプラスティック成型した専用部品を使用しているのできれいに仕上がっている。 3) ボリュームコントロールを取り付ける穴は6.5φをドリルで空けた後、テーパリーマーで軸に合ったサイズに広げた。 |
スリットを5mm幅で2本入れる |
スリット部を切除後折り曲げ |
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4) その後、ボリュームコントローラ取り付け部の強度が不足していることがわかり、もう少し大きいコ型材をさがしたところ18mm x12mmのものが見つかった。これは厚さは同じ1.0mmだが、幅広なので強度が増加し、力が加わっても変形しにくく なった。なおこのアルミ材は幅が広いので丸い本体に深くはまって取り付け高さも適切になり、高さ調整の切り取りも不要になり、一石二鳥。 | ||||
3.本体へマイクソケットの取り付け | ||||
1) マイクソケットだが、パイプへ取り付けると後ろのキャップは外さなければならない。このキャップが無いとコネクタ部がカバーから抜けてしまうので、側面に3mmタップ穴を空け、ネジで押して固定した。なおこのネジはボリュームコントロール部のコ型材内部へ入れ隠している。 2) 更にマイクソケット本体へ3mmのタップをたて、パイプ内へ小ネジで固定した。 |
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4.本体へのトランス取り付け | ||||
1) 取り付けピンを折り曲げれば、そのままパイプ内へ納まる。パイプ内で動かないよう、絶縁テープを巻いた。これはパイプ内へ入れただけで、特に固定はしてない。 | ||||
5.マイクスイッチの取り付け | ||||
Hiltonはパイプ本体にマイクスイッチが取り付けてあるが、取り付けにくいので、ボリュームコントロールを付けるコ型材の後方に5φ穴をドリルで空けて取り付けた。なおこのままではスイッチ本体の背が高いので、スイッチの電極部が本体パイプに干渉してしまう。そこでパイプ側へ大きな穴を空けて、この部分を逃がした。但しマイクコントロールのコ型材に隠れるサイズの穴としている。 最後にパイプ側へ3mmのタップをたて、これにコ型材中央部をネジ止め固定する。ネジはM3x20皿小ネジを使用した。右写真が完成した姿。 |
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6.配線とプラグ取り付け | ||||
マイクケーブルとリモートコントロールケーブルは手持ちの古いマイクに付属していた5mシールド線を半分に切って流用し、2本を瞬間接着剤でくっつけた。アース側は共用でもよいので、2芯のシールド線を使ったほうがスマートかな?(その後4芯のマイクケーブルがサウンドハウスで入手できたので、これを使用している) ボリュームコントロールはテスターで抵抗値を見て、ツマミを右へ回したときこれが10kΩ⇒0Ωに変化するように配線する。マイクスイッチはON(上へ押す)のとき、抵抗値が∞⇒0Ωになるよう配線する。 それぞれのケーブルにマイクプラグとミニプラグを半田付け接続した。 パイプの後部はマイクコネクタに付属していたキャップ部のゴム部品を取り出し、ケーブルにビニールテープを巻いてパイプの内径に合わせた上、はめ込んだ。パイプにタップ穴加工してこの部分を小ネジでアルミ板を介して締め付け固定した。 リモートの3.5mmプラグであるが、純正品と調達品の先端形状が少し異なる。日本製のプラグは先端が3.0mm径なのに対し、米国製の純正品はやや太い(3.5mm径)。このため使い込んだアンプはこれを差し込むジャック部が広がっていて、製作した国内調達のプラグでは当たりが悪く、接触不良になる問題が2件ほど報告された。使い込んでいないアンプでは特に問題はない。 この米国仕様のプラグを入手する方法がわからなかったのだが、その後、この記事を見た方から教えていただけ、Mouserという商社でSwitchcraft製の物が購入できた。但し価格は日本製の3倍程度とかなり高価。 |
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7.一部修正しようやく完成 | ||||
アンプへ取り付けてテストしたところ、マイク音量は適切で、音楽音量のリモートコントロールも正常に動作した。但しブーンというノイズが入る。 そこで本体ネジ部へラグ板を取り付け、マイクケーブル被覆線へ接続、アース処理したところノイズは消えた。 |
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コ型材の角が鋭く手の内側に当たって気になるので、ヤスリで少し角を取った。 またコ型材の高さが12mmとHiltonの9mmに比べて高く、やや持ちにくいので、分解してグラインダーで削り9mmにした。完成したものが右の写真。何度もやり直しているので、表面には傷がたくさん入ってしまった。 |
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8.その他 | ||||
部品代だけであれば5,000円程度と思います。製作時間は1個目なので試行錯誤が多く8時間程度かかったかな。 アルミ材の加工(切断、曲げ、面取り、穴明け、タップたてなど)、部品組付け(スイッチ、マイクコネクタ、ボリュームコントロール、トランス等)、配線(ケーブル端末処理、半田付け、絶縁処理等)、など結構面倒な作業が多い。まとめて作れば1個あたり4〜5時間程度? 但し部品調達の時間は含みません。 工具はグラインダー、小型バイス、ドリル、ポンチ、タップ、ヤスリ、ハンマー、ラジオペンチ、ニッパー、テーパリーマー、ドライバー、半田ごて、テスター、巻尺等。 |
改訂2021.8.22 改訂2021/4/29 改訂2019.8.5 改訂2016/06/04 改訂2014/07/17 Uploaded 2014.06.18